先日行われた不動産投資のセミナーを振り返る。
このセミナーは、不動産投資をはじめようと考えている人で、特に1棟まるごと所有することを検討している人向けの内容になっている。
不動産投資にも種類があるので、そういったことが分からない人は、まずはこちらの記事を読んでからの方が良いと思う。
一般的な不動産投資とは真逆の考え方
本セミナーの主催は株式会社アイケンジャパン。
スピーカーは東日本営業本部長の永光氏。
- 販売棟数:1,002棟
- 管理戸数:7,232戸
- 1階女性入居率:42.3%
- 入居率:99.7%
- 収益稼働率:98.3%
- サブリース戸数:0
- 家賃滞納率:0.08%
- オーナー継続率:98.5%
(いずれも21年12月時点)
ということで、特に住居を見る目が厳しい女性でも1階の入居率が高いということは、物件の質が高いということを推していた。
ほかの不動産投資セミナーでは、都心部、中古、RC造が鉄板の条件なのに対し、こちらは地方、新築、木造と真逆の内容で、非常に興味深く話を聞いた。
区分マンションのメリット・デメリット
不動産投資を始める人が最初に手を出す商品として、圧倒的に区分所有のマンションが多い。
<区分マンションのメリット>
- 少額の自己資金ではじめられる
- 一等地に不動産を所有できる
- 毎年の確定申告で損益通算して所得税の還付が受けられる
<区分マンションのデメリット>
- 管理費、修繕積立金などの費用が毎月かかる
- 入居者が退去すると、次の入居者が決まるまで無収入
- 土地の所有権はない(あっても細切れ)
- 今後の融資に影響が出る
- マンション1棟に何十、何百のライバルがいる(家賃設定に影響)
_ということだった。
ただ、デメリットに関しては、区分マンションに限った話でもないような気がする。
1棟マンション(RC)のメリット・デメリット
「区分所有取り、1棟を購入した方が良さそうだ」と考え始めた人が次に迷うのがアパートか?マンション(RC)か?
<1棟マンションのメリット>
- 耐用年数が長い
- 防音性が高い
- 狭い土地でも容積次第で(階を)上に伸ばして戸数の確保ができる
- 火災保険料が安い
<1棟マンションのデメリット>
- 建築コストが高く、借入期間を長くしないと採算が合わない
(目安:40~47年) - エレベーターなど比較的高額なメンテナンス費用がかかる
- コストが高いため初期の家賃も高く設定する必要がある
- 償却年数が長い
こちらについては、概ねその通りという感じがした。
私は1棟マンションの経験がないので、もしかしたら経験者の人が聞いたら「そんなことないよ?」みたいなこともあるかもしれない。
中古アパートのメリット・デメリット
<メリット>
- 新築物件と比べて安く購入できる
- 入居状態を確認してから購入することができる
<デメリット>
- 修繕費や改築の費用が嵩む場合がある
- 価値のない物件の場合、金融機関の融資が受けづらい
- 「良い物件」の見極めが難しい
「メリット少なすぎない??」と思ったけど、ここでのポイントは多分、中古のマンションではなく、中古のアパートと言っている点なのかな?
アパートでしかも中古を、個人が仕入れるとなれば、確かにそういうでメリットはありそうだ。
新築木造アパートを推す理由
ここからは、アイケンジャパンが推す「新築、木造、地方」のメリットの説明になる。
- 土地の所有権を持てる
- 毎月のインカムゲインが得られる
- 売却時のキャピタルゲインも見込める
- 複数部屋を所有するため空室耐性がある
- レバレッジ効果がある
(1~3割ほどの自己資金で始められる) - 1棟1オーナーの優位性
- 手間が少なく本業に影響が出にくい
- コロナ禍の影響を受けにくい
いずれもアイケンジャパンが手掛ける物件じゃないと、一般的な1棟マンション(RC造)の投資との差はわからないかも。どれも1棟マンション(RC造)でも同じことが言えるからね。
新築木造アパートならなんでも良い訳じゃない
木造アパートには、空室につながる3つのデメリットがある。
- 防音面でRC造などに劣る
- 地震に弱い
- セキュリティ面でRC造などに劣る
これは確かにその通り(他にもありそうだけど)。
逆に、この3点をクリアするような物件なら、資産価値の高いものになる得るということらしい。
しかも木造なら建築コストもRC造に比べて抑えられる。
「決め物きめもの」と「当て物あてもの」
物件力が高く客付けしやすい物件:決め物=本命物件
物件力が低く客付けしにくい物件:当て物=引立て役
_と言っているそう。
だいたい売り出されている不動産というのは、2:8(決め物:当て物)という割合になっていることが多いとのこと。
例えば、入居率75%の物件があったとする。
入居率としては悪くはないけど、その実態は客寄せ用のFR:フリーレント(家賃無料)の区画があって、実際の入居率は58%という当て物だった…ということもあるらしい。
このFR(家賃無料)の区画は、不動産の販売業者からすると広告費という位置づけ。
こういう話は確かにありそうだ。
「決め物」アパートの条件とは?
では、どんなアパートなら決め物になるのか?
- 立地
- 間取り
- 配置
- 防音
- 地震対策
- 設備・デザイン
- セキュリティ対策
- 管理
- 家賃設定
アイケンジャパンでは、この9点で考えているそうで、入居者とオーナー、双方の視点でつくられたアパートじゃないと決め物にはならないとのこと。
1.土地
アイケンジャパンの土地の仕入れ基準。
- 主要駅から徒歩圏内
単身者需要がある - 商業施設あり
付近にスーパーやコンビニなどがある - 雰囲気が良い
一人暮らしの女性も住みやすい
個人の不動産投資をしようという人なら考えそうな条件だと思う。
実際、自分で区分マンションを購入する際は、もう少し具体的な条件も考えたりしたしね。
この辺は、個人の不動産投資はじめての人向けということだろう。
2.間取り
横間タイプが人気。縦間(直間)はリビングが暗くなりやすい。
都内の物件だと、なかなか縦間以外の単身者向けマンションは見つからないかも知れない。
確かに、条件が同じで自分が住むなら、縦間よりも横間が良いしよね。
都内だと横間の物件というだけで、結構な値段がつきそうだ。
選択の余地があるなら、この間取りの話は参考になると思ったし、新築で間取りを考えるなら、こういうポイントは大事だよね。
3.配置
配置というのは、住居同士の並びのこと。
縦間なら横一列に並ぶ格好になるけど、そうするとお隣との生活音とかの問題が起きやすい。
横間で配置を工夫すれば、そういう問題が起きにくい状態も作ることができるという内容だ。
しかも、工夫次第では1フロアー4室とも角部屋にすることもできる。
そういう工夫ができるのは新築ならではだね。

「4.防音」以降については、建築的な設備のお話だったので省略するけど、この辺の内容は、建築の知識がある程度ないと、聞いても、それが十分な内容かどうか判断が難しいんじゃないかって思った。
新築で物件を建てることの難しさというかリスクも、この辺にあるかもしれない。
最低限の施主としての勉強は、当然ながら必要だね。
アイケンジャパンの特徴
ここからは、新築、木造、地方(都心部も可)という条件で、なぜ収益が出せるのか?について。
土地を安く仕入れる企業努力
土地を安く仕入れることによって、事業として成り立つ利回りを実現しているとのこと。
- 地道な営業活動による水面下情報の獲得
- 土地購入から決済までの意思決定の速さ
- 100%社内設計することで、土地ごとに最適なプランニング
この時点で、このアイケンジャパンは工務店がベースの企業なんだな…と気がついた。
企業沿革を見てみると、建設会社としてスタートしていて、21年に子会社を設立したタイミングで不動産投資事業に進出されているみたいだ。
ここでは特に、「土地・建物の総額を見て高い安いを判断してほしい」と話されていた。
つまり、建物の額だけで判断しないで、安く仕入れている土地と合わせてみると、十分な利回りが見込めるようになっているという意味だろう。
収益を生む物件は融資に有利
融資する側(銀行)としては、「事業として成り立つか?」つまり「収益を生む物件か?」をチェックしている。
このときに、「収益を生む物件」だと判断してもらうとこで、2棟目以降の買い増しや、投資用ローンの借換にも有利になるとのこと。
これに関しては、分譲マンションでも同じことだとは思う。
アイケンジャパンの場合は、土地の仕入れ~建物の設計・施工~賃貸管理までトータルで見るので、より強みになるという感じだろうか。
劣化対策等級3で耐久性十分
「劣化対策等級」というものを知らなかったので調べてみた。
国土交通省で定めている新築住宅の耐久性に関する基準で、等級1~3のうち、等級が大きいほど耐久性に優れる住宅ということになるようだ。

アイケンジャパンでは「等級3」の物件しか扱わない。
その結果、木造でも35年ローンも設定できるようにしているとのこと。
4つの融資実績
次の4つの実績例を紹介されていた。
自己資金は諸経費を含む。
| 事例1 | 事例2 | 事例3 | 事例4 | |
| エリア | 仙台 | 福岡 | 関東 | 兵庫 |
| 価格帯 | 9,900万円 | 7,000万円 | 1.2億円 | 8,800万円 |
| 表面利回り | 6.5% | 6.6% | 6.3% | 6.4% |
| 借入金利 | 1.5% | 1.3% | 1.5% | 0.85% |
| 借入年数 | 30年 | 30年 | 30年 | 35年 |
| 自己資金 | 1,500万円 | 1,500万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
正直な感想としては、自己資金はそれなりにまとまった額が必要なんだな…。というところ。
この額の自己資金が出せるなら、分譲マンションに投資した方がリスクが低い気もする。
この辺りの考え方は、それぞれの資産状況で考え方は変わるかもしれない。
あと気になったのは表面利回り。
確かに悪くはないと思うけど、実質利回りでも出して欲しかったなぁ?
アパート投資の考え方
アパート投資を始める
都心部と地方のどちらにするか?
- 都心と地方のどちらがいいか?
- 同じ条件なら家賃設定を高くできる都心がいいのか?
購入する不動産のエリア選びのときに悩むポイントかも知れない。
これに対しては次のような考え方を勧められていた。
- 立地を優先 → 都心の狭小アパート
- 単身者ニーズを優先 → 地方の1LDK
都心だから狭小、地方だから単身者ニーズが多い、、、ということはないとは思うけれど、都心・地方のどちらを選択しても対応できるブランドがあるとのこと。
ちなみに、アイケンジャパンの実績を見る限り、「都心部」と言っても東京23区内は含まれないっぽい(22年4月時点の実績では)。

変形地は融資を受けられない?
土地の形が三角形や台形、細長いなどの変形地の場合は、建替えやリフォームが制限されることが多いので、資産価値が下がってしまう可能性がある。
そのため、銀行の融資が受けにくかったり、評価が下がってしまうのでは?
という心配があるかもしれない。
これについては、変形地であっても、融資評価の基準はあくまで収益性の有無(または高い・低い)なので、決め物はつくれるという説明だった。
入居者側も、変形地だから入居を見送るということはないとも話されていた。
確かに自分が賃貸を探すときは、極端に間取りが狭かったりする訳ではなければ、それほど気にはしないかもしれないと思った。
ただ、引越しや家具の購入などで荷物を搬入する際に、入り口が狭いなどで不便が出る場合もあったりするかもしれない。
変形地だからと言って、投資先として見送る必要はないかもしれないけど、積極的に狙っていくようなものでもないだろう。
不動産の買い時と売り時
買い時
「いつが買い時か?」
「いつ始めるのがベストか?」
不動産投資を考えていて、なかなかスタートが切れない人もいるだろう。
これについては、金融機関から借入れできる個人属性なら、はやく購入することを勧められていた。
そもそも収益が出ないような物件には融資もされないので、融資される物件なら返済見込みも建てられる物件だとも説明されていた。
個人属性というのは、例えば年齢、既婚・未婚、勤務先・勤続年数、返済の有無などのこと。
融資を受ける際、ローン審査の基準にもなる。
この属性が良ければ、銀行も融資しやすくなるので、自身の属性が良いタイミングに合わせて投資用ローンを利用するのは外せないポイントだと思う。
売り時
「いつが売り時なのか?」
「出口戦略は?」
これについては、アパートは株や金、為替のような投機商品ではないということ。
売却時に家賃が下落していない物件を購入することが出口戦略だと説明されていた。
(キャピタルゲイン(売却益)が狙える物件)
たまたま、同日に別会社のセミナーを視聴したんだけど、そちらでもちょうど同じような話が出ていた。
不動産は購入した時点で、出口が決まってしまう。
売却時の見込みが立たないような物件を買ってしまったら、その時点でマイナスが確定してしまう。
そういう意味でも、前段で話に出た土地と合わせて考えるというのは非常に重要だと思う。
アパートローン収益シミュレーション
<前提条件>
- 総事業費:1億円
内訳:土地 4,000万円、建物 5,800万円、諸経費 200万円、家賃 65,000円×8戸 - 自己資金:1,000万円
- 借入金:9,000万円
返済年数 30年、金利 2.0% - 現在45才、65才までの20年間、毎年100万円を預貯金(預金金利0.002%)
前提条件を踏まえて、65才での想定資産を計算すると_
- 預金:3,000万円
- アパート経営収益:4,200万円
- 土地の価格:4,000万円
- 想定資産(合計):1億1,200万円
_となる。
※セミナーでは1円単位で計算されていたけど、ざっくり概算値に直してるよ!
もちろん概算なので、途中の修繕費用や空室の可能性などは省略されているので注意。
もしかしたら聞き逃したかもしれないけど、45才時点で資産が800万円くらいからスタートしてる計算かも知れない。
土地には新しい・古いという評価軸はないので、基本的に価格が変わらない点は重要。
(銀座の一等地みたいな場所なら相場変動も大きいかもしれないけど)
あとは、20年経過していても「劣化対策等級3」なので、まだまだ収益を確保することができるはずだ。
まとめ
「新築、木造、地方」でも収益が出せるのは、土地の仕入れ~設計・施工~賃貸管理までまとめてできるスタイルだからだということがわかった。
地方だとどうしても10年、20年先の人口減少が気になるところなので、そこをどう考えるか?はとう知る前にしっかり考えておく必要があるだろう。
設計・施工も手掛けているので、事前に賃貸の内覧として物件を見に行っても良いかもしれない。
私は1,000万円前後の自己資金があって、しかも余裕資金として確保できるような人であれば、検討するのはアリだと思った。



